同じWebサイトでも、パソコンとスマートフォンでは見ている環境が異なります。ここでは、A/Bテストを重ねてデバイスごとの仮説を検証し、最適な訴求メッセージを見つけた事例をご紹介します。
会員登録のハードルを下げる施策を実施
とあるECサイトでは商品を購入するのに会員登録が必須で、ゲスト購入ができない仕組みでした。会員登録を手間に感じたり、ためらったりして離脱してしまうユーザーをフォローするために、会員登録のメリットやすぐに終わることをポップアップで伝えて会員登録のハードルを下げる施策を行いました。
- シナリオの目的:新規会員登録促進、購入促進
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訴求するメッセージの要素を分解して検証
最初は伝えたいことを盛り込んだメッセージで訴求していましたが、改善にはつながりませんでした。そこで要素を分解し、見出しのみで短く訴求するパターンを複数検証することにしました。
すると、パソコンとスマートフォンで成果に顕著に差が現れました。パソコンでは在庫の確保を案内するパターンが好調だったのに対して、スマートフォンでは同様の成果が得られなかったのです。
パソコンとスマートフォンの違いは何か?
パソコンとスマートフォンの違いを分析するため、社内ツールを利用して「初回訪問日からコンバージョンもしくは離脱するまでの日数」を調べました。結果を見ると、パソコンのユーザーは比較的短い日数でコンバージョンに至りその後右肩下がりになるのに対し、スマートフォンのユーザーは日数が経過してもほぼ横ばいで、10日を経過しても一定のコンバージョンが発生していました。
このことから「スマートフォンのユーザーは今すぐ購入するためではなく、ブックマークのような目的でカートを使っている人も多いのでは?」と仮説を立てました。
そこでスマートフォンでは、日を置いて購入することを考慮し「会員登録を事前に済ませるとスムーズにお買い物ができます」というメッセージで訴求するパターンを追加して検証しました。
このパターンが当たり、パソコンとスマートフォンでそれぞれユーザー行動や心理を考慮して別のメッセージを出し分けることで両方の会員登録率を向上することができました。
まとめ
パソコンとスマートフォンでは、Webサイトを見ているユーザーの状況や心理が異なります。同じ声かけをすれば同じ成果になるわけではありません。最適な声かけを考えるには、データをもとに仮説を立てて検証していくサイクルが必要です。
Sprocketでは50,000回のA/Bテストを実施しており、多くのノウハウを蓄積しています。担当のコンサルタントが分析から仮説の立案、施策の実施・検証のサイクルを回すところまでお手伝いすることも可能です。